TMS(経頭蓋磁気刺激治療)とは

磁気刺激治療(TMS※)は、東京慈恵医科大学で始められた最新の治療法で,脳神経細胞に磁気刺激を与えることに併用して,集中的な手のリハビリテーションを行うことにより,麻痺している手の潜在能力を最大限に引き出す治療法です。平成24年10月より、当院におきまして兵庫県下初の TMS 治療を導入しました。

※Transcranial magnetic stimulation

病気の発症から数年経っていても効果がある

以前までは脳卒中による麻痺の回復は6カ月程で頭打ちになるという「6カ月の壁」が存在し,これ以上の回復は難しいとされるのが一般的な考え方でした。しかし最近では,たとえ脳卒中を発症してから数年が経過していても,症状にも依りますが麻痺の改善が見込めるということで大変注目されています。

治療場面

 

治療のメカニズム

当院での治療効果

まず,課題に要する時間を測定する手の機能評価(WMFT)の結果からですが,図1からも解るように訓練前後で課題にかかる遂行時間の大幅な短縮が見られ,このことから麻痺した手の機能が向上していることが確認できます。次に,どれくらい生活場面で麻痺手を使用出来ているか,つまり麻痺した手の日常生活における使用頻度評価(MAL)の結果においても,図2からも解るように大幅な使用頻度の向上がみとめられました。このことから,TMS・CI療法は手の機能だけでなく,日常生活における手の使用頻度を向上させることにも非常に有効であることがわかります。さらに,満足度アンケートから治療内容について,満足の声を多く頂けただけでなく,感想を頂いた方のなかには,「今までよりも前向きになれた」など,手に関することだけではなく,QOL(生活の質)の向上を意味する感想も頂いております。これには,TMS・CIチームのスタッフ全員が驚き,これからの治療に対して大きな励みとなっています。今後は,TMS・CI療法終了後のフォローアップ(退院後から1年を目安)を充実させ,さらなる治療成績の向上だけでなく,真正面から寄り添える医療をより確実なものにして行きたいと思っております。

患者様の適応基準

当院でTMS治療を受けるには、以下の適応基準を満たす必要があります。

当病院で診察・検査を行い、TMS治療の適応があると判断された場合においてTMS治療が受けることができます。尚最終的な判断は医師の判断の元に行われます。

1.年齢が16歳以上である。

2..認知機能に問題がない ( 認知症ではない )。
3.うつ病ではない。
4.透析をしていない。
5.頭蓋内に金属 ( クリップなど) が入ってない。
6.心臓ぺースメーカーが入っていない。
7.少なくとも一年間は痙攣の既往がない ( 脳波検査で異常が無い )。
8.全身状態が良好である ( 発熱、栄養障害、重度心疾患、体力低下がない )。
9.日常生活が自立している ( 自ら移動できるなど生活上では介助が要らない )。
10.脳卒中 ( 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血 ) を原因として上肢麻痺(※1)を呈している。

効果が期待できるのは,上肢の麻痺に対してであってしびれに対する効果はありません。また、発症してから半年以上経過した方を対象としています。

※1 少しは指が伸ばせることが適応に含まれます。全く指が伸ばせない場合は適応外となります。

入院費用について

入院治療費には健康保険が適用になります。

入院はすべて個室での対応とさせていただきます。個室代は保険外適応となります。

ご負担額は個室代を含め,15日間で3割負担の方で21万円程度,1割負担の方で13万円程度です。
診療内容や月をまたぐことにより,金額が多少異なることがあります。

スケジュール

入院までの手続き

適応基準に合うかどうかを確認する。

順心リハビリテーションセンターに電話

『磁気刺激治療(またはTMS)希望』と言って頂ければ内線で担当へお繋ぎします。

外来診察の予約を行います。

外来診察で,治療が可能と判断されれば,入院日を設定します。